初めてのバードウォッチング 大阪城公園 ツアー・レポート
4月24日(土)に催行された 初めてのバードウォッチング 大阪城公園に同行してきました。
エナガ団子
この日のツアーは9時集合でした。久下氏は2時間ぐらい前に現地に入って、1時間以上の下見を行います。今回は私もその下見から同行しました。
ポイントとなる箇所を数か所確認した後、別の場所を確認するために、ツアーコースの途中を横切って移動しようとした時です。久下氏がエナガのヒナが密集して団子状態になる、通称エナガ団子を見つけました。
今の時期、エナガのヒナが巣立ち、木の枝から枝へと親鳥について移動します。親鳥は、見つけたエサをヒナに与えます。木々の間を飛んでいるうちに疲れてくると、ヒナたちは一ヶ所に集まり、団子状態になるのです。この状態がエナガ団子と呼ばれる、今の時期にしか見ることができない現象です。ヒナたちの体力が回復すると、また移動が始まります。
この時は、集合時間の1時間ぐらい前にエナガ団子を見つけて、10分程観察していると、移動が始まりました。 久下氏は、できれば参加者の皆さんにエナガ団子を見てもらいたいと考えました。そこで、久下氏は集合場所に移動し、私はエナガのファミリーを追いかけて後に合流することにしました。
私はエナガのファミリーを追いかけていたのですが、ちょうど集合時間になった頃に、突如、ヒナたちを見失いました。急にエナガの姿が見えなくなったのです。諦めて集合場所に向かうか、この近くでエナガを探すのが良いか考えていると、一人の若いカメラマンの方が、垂直方向にカメラを向けて写真を撮りだしました。木立の上の方でヒナたちがエナガ団子を作っていたのです。だから、急に飛んでいるエナガがほとんどいなくなったのです。
飛んでいるエナガがいなくなった = エナガ団子を作っている。ごく当たり前のことだと、後で気付きました。
エナガのファミリーを追跡
エナガのファミリーが、再び移動を始めた時にみなさんと合流でき、久下氏を先頭にエナガのファミリーを追跡しました。しばらくエナガについていくと、観察のしやすい開けた場所で、親鳥がヒナにエサをあげるところなどを皆さんに見ていただくことができました。しかし、残念なことに、なかなか団子状態になってくれませんでした。
もう数十分、追いかけると、エナガ団子を見ることができたかもしれませんが、限られた時間でのツアーなので、諦めることになりました。それでも、エナガのヒナをじっくりと見たり、親鳥がヒナにエサをあげる貴重なシーンを観察していただくことができました。
野鳥の見つけ方
見晴らしのいい場所で、野鳥の見つけ方についてのレクチャーです。
双眼鏡を持っている時は、基本的に遠くから手前へとチェックするポイントを移動させます。
このような場所では、遠くの木立、石垣の上部の淵、少しこちら側に寄った木立、近くの木立、遠くの石垣の下あたり、石垣の淵を遠くから手前へ、最後は開けた地面という感じです。
遠くの木立のハシブトガラス
正面の石垣の上の木立に、ハシブトガラスが4羽止まっていました。(写真には3羽しか納まっていませんが)
この日ではありませんが、ハシブトガラスが電線に数十羽ぐらい集まってきた時、その近くの木立にオオタカがいたことがあったそうです。別の日の、とある公園では、ハシブトガラスが数十羽がカーカーと激しく鳴いていて、その場所に更にハシブトガラスが集まって来て、最終的に100羽近くになったことがあるそうです。その中心辺りを捜索すると、フクロウがいたということもあったそうです。これらの現象は、ハシブトガラスのテリトリーに猛禽類が入って来たので、テリトリーから追い出そうと威嚇していたのです。
ハシブトガラスがやたらと騒ぐと、猛禽類がいる可能性があるので、そのような時は注意して見ましょう。
ものさし鳥
バードウォッチングで見た鳥が何か分からない場合、図鑑で調べる際に重要な情報の一つに大きさがあり、大きさの見当をつけるのに基準となる鳥がいてものさし鳥と言われています。
ハシブトガラスはその中の一種です。この日に見た野鳥では、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリもものさし鳥で、他にキジバト、トビもものさし鳥です。
ものさし鳥を見つけたら、大きさを把握するように意識して観察してください。後々、役に立つことがあるはずです。
桜広場
玉造口から入ってすぐの所に、桜広場があります。ここでは、石垣の淵に行くと、下から伸びた高木の木立が目の高さで見ることができます。夏鳥のオオルリは木立の梢辺りに止まることが多いので、この場所からなら、タイミングが良ければ、オオルリを目線に近い高さで見ることができる可能性があります。(4月中旬から5月上旬)
ちょうど、このポイントに着く寸前に久下氏はキビタキを見つけました。ポイントに着く頃にはキビタキは梢の葉が茂った中に入ってしまったので、出てくる瞬間を待つことにしました。結局、キビタキは下方向に飛び去りました。また、上がってくる可能性があるので、待っているとオオルリが現れました。久下氏がフィールドスコープ(望遠鏡)でオオルリを捉え、皆さんに順番にフィールドスコープで見ていただき、さあ写真を撮ろうとした時に、オオルリは飛び去りました。
※ ここに掲載のオオルリの写真はこの近くで数日前に久下氏が撮影したものです。
キビタキが再び
久下氏が、オオルリに関して話している時に、オレンジ色の点が目に入りました。キビタキが再び現れました。せわしなく飛び回り、木の羽の陰に隠れては現れて、あっという間に飛び去りましたが、数人の方は見ることができたと思います。
参考画像を見ていただくと分かりますが、オスのキビタキは喉、眉線、羽の一部がオレンジ色なので、とても目立ちます。また、オスは一時的に縄張り主張するので、数分から数十分ほど後に、同じ場所周辺に現れる可能性があります。
もし、時間があるなら、飛んでいったので諦めるのではなく、しばらく待ってみましょう。
コマドリを探しに
豊國神社の裏にある植え込みのチェックをして、夏鳥のコマドリを探してみましたが、いませんでした。コマドリの探し方は、4/15の 初めてのバードウォッチング 大阪城公園をご覧ください。
4/15の 初めてのバードウォッチング 大阪城公園の時は、多くのアトリがいましたが、この日はいなくなっていました。アトリは冬鳥なので、この数日の間に北へ移動したのでしょう。
天守閣の周辺の石垣の上
天守閣の周辺の石垣の上にあたる所にも、木や植え込みがあって、この辺りにも野鳥はいます。この日はシジュウカラがいました。
石垣の上から梅園が見えます。梅園の右端の高木が、オオルリやキビタキが見れた所です。
移動する夏鳥
オオルリは気候にもよりますが、GWの終わりぐらいまで、大阪城公園で見れる可能性が高いです。夏鳥は南から北へ移動するので、5月の服部緑地のツアーでキビタキが、6月の箕面公園のツアーでオオルリが見れるかもです。
もちろん、気候や天候の関係で、見れるとは限りませんが、ご興味があればご参加ください。
⇒ バードウォッチング ツアー
出会えた野鳥の一覧
今回の 初めてのバードウォッチング 大阪城公園で出会えた野鳥の一覧です。
種名 | 目 | 科 | 渡り |
---|---|---|---|
キジバト | ハト目 | ハト科 | 留鳥 |
コゲラ | キツツキ目 | キツツキ科 | 留鳥 |
ハシブトガラス | スズメ目 | カラス科 | 留鳥 |
シジュウカラ | スズメ目 | シジュウカラ科 | 留鳥 |
ツバメ | スズメ目 | ツバメ科 | 夏鳥 |
ヒヨドリ | スズメ目 | ヒヨドリ科 | 留鳥 |
エナガ | スズメ目 | エナガ科 | 留鳥 |
センダイムシクイ | スズメ目 | ムシクイ科 | 夏鳥 |
メジロ | スズメ目 | メジロ科 | 留鳥 |
ムクドリ | スズメ目 | ムクドリ科 | 留鳥 |
アカハラ | スズメ目 | ヒタキ科 | 夏鳥 |
ツグミ | スズメ目 | ヒタキ科 | 冬鳥 |
キビタキ | スズメ目 | ヒタキ科 | 夏鳥 |
オオルリ | スズメ目 | ヒタキ科 | 夏鳥 |
スズメ | スズメ目 | スズメ科 | 留鳥 |
夏鳥 冬鳥 旅鳥 留鳥 に関する詳細は、バードウォッチング基礎知識 鳥の渡りのページをご覧ください。
『日本鳥類目録 改訂第7版』(日本鳥学会2012)準拠
バードウォッチング ガイドツアー
バードウォッチング基礎知識
久下直哉氏監修のバードウォッチング基礎知識です。バードウォッチングを始める方は参考にしてください。
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