野鳥ガイド 久下直哉氏 と行くバードウォッチング
12月12日(土)に開催された 初めてのバードウォッチング 服部緑地公園 に同行取材してきました。
一週間前から始まった、旅の本棚の新企画初めてのバードウォッチングのシリーズの第2回目です。
12/5のようす ⇒ 初めてのバードウォッチング 大阪城公園
野鳥ガイド 久下直哉氏
このプランの魅力はいくつかありますが、一番にあげることができるのが、野鳥ガイドのプロフェッショナルである久下氏がガイドして下さる点です。
何事にも基本とノウハウがありますが、バードウォッチングにもあります。
バードウォッチングは、公園や里山を散策して我流でもできますが、基本とノウハウを知ることにより、よりバードウォッチング楽しむ事ができるようになると実感しました。
久下氏は、ご自身が野鳥を好きである事だけでなく、野鳥を見て楽しんでいる人を見るのが好きと言う方です。みなさんが、楽しめているかを確認しながら、その雰囲気にペースを合わせてガイドして下さいました。大阪城の時に参加して面白かったと、今回も参加して下さった方もいらっしゃいました。
出発前の説明をしている時も、久下氏の視線は野鳥を追っているのが、この写真で分かると思います。
レンタル双眼鏡
私はバードウォッチングが初めてなので、1日1,000円で双眼鏡をレンタルしました。ペンタックス製の 8倍のモノです。
初心者であれば、8~10倍ぐらいの双眼鏡が扱いやすいそうです。
まずは、レンタルでスタートして、バードウォッチングが楽しいと感じ、自身でも公園などを散策して、野鳥を観察したいと思ったら、購入するというのが良いかもです。
ペンタックスやオリンパス、ニコン、キャノンといった、カメラのメーカーで聞き覚えのあるメーカーの他に、ビクセン、コーワなどのブランドが一般的のようです。
これらのメーカーと違う、安い目の双眼鏡と何が違うかと言うと、明るさ、鮮明さ、扱いやすさ、重さ、防水性などが異なってきます。
詳しくは、バードウォッチング初心者のための双眼鏡の選び方のページをご覧ください。
服部緑地へ移動
緑地公園駅から服部緑地へ移動します。道端の木々から数種類の野鳥の鳴き声が聞こえてきます。久下氏が何の野鳥の鳴き声かを教えてくれますが、まだチンプンカンプンです。それでも野鳥の鳴き声を耳にするだけで、テンションが上がってきます。
高川
公園沿いに流れる高川の所で久下氏が立ち止まりました。川の中にいる野鳥を双眼鏡で見る練習です。川の中にいる野鳥は、ゆっくりと動いているものが多いので、練習にもってこいです。 久下氏が扱っているフィールドスコープ(望遠鏡)は、スワロフスキー(SWAROVSKI)のものです。そうです、クリスタル・ジュエリーで有名ですね。
このフィールドスコープでキセキレイという、腹部が黄色い野鳥を見せてもらいました。その鮮やかな色に、みなさんが順に覗くと「うわー!」「きれい!」など感嘆の声を上げていました。
川中のカラスの歩く様子を観察しながら「歩くカラス、ホッピング(両足をそろえてピョンピョンする)するカラス、その両方ができるカラスがいるんです」などの説明を聞くと、普段はゴミ袋を荒らす厄介なカラスも、黒い宝石のような気がしてきます(笑)
キセキレイとカラスの話だけで、すでにみなさんが、久下ワールドに引きずりこまれていました。
服部緑地 東中央広場
服部緑地 東中央広場にある噴水のオブジェの上に、白い鳥が数羽いました。ハクセキレイです。
この写真は、久下氏のフィールドスコープ越しにスマホ(iPhone)で撮ってもらったものです。ハクセキレイは、長い時間、その場にじっとしていませんが、また同じ辺りに戻ってきます。ここで、飛んできた鳥を双眼鏡で見る練習をします。
みなさんが、ハクセキレイに必死になっている時に、久下氏が後方上空を見回し出しました。シジュウカラが警戒を促す鳴き声を発しだしたからです。 久下氏が北から南の方向へ大きく頭を動かした時に、私もその後を追うように視線を動かすと、カラスより少し小さいぐらいの野鳥の影が林間に飛びこむのが見えました。その瞬間、その木にとまっていた鳥たちが一斉に飛び散り、その野鳥の影も、もう少し向こうの方へ飛びました。
私には影しか分かりませんでしたが、久下氏は「ハイタカです。シジュウカラを狙ってました」と説明されました。大阪府では、ハイタカやオオタカなどの猛禽類を観察することもできるそうです。
駅前での説明の時の、鳥の鳴き声にも、しっかりと耳を傾けてくださいとおっしゃってた事を思い出す出来事でした。
服部緑地 新宮池でメジロ・シジュウカラ・ツグミ
新宮池の方へ移動すると、木々の間を鳥たちが飛び回っています。メジロやシジュウカラです。枝にとまってもすぐに飛びます。
久下氏が、高木の上の方を指差し「ツグミがいます」と教えてくれました。枯葉と重なって分かりにくいですが、よくみると枯葉ではなく、明らかに鳥です。
拡大するとこのような感じです。枯葉が多く残っていると、初心者にはなかなか見つけられないと思います。久下氏が、冬の葉が落ちた頃が、バードウォッチング初体験に適してますと言う事の意味が良く分かりました。
因みに、この写真は、OLYMPUS PEN E-PL8(ミラーレス一眼)に望遠ズームレンズを装着したもので撮りました。15mぐらい先のツグミをしっかり撮るには、もっと大きな望遠レンズが必要ですね。
新宮池でカワセミ
新宮池の淵で久下氏が立ち止まり、池の方を見まわしました。何かせわしなく行ったり来たり飛ぶ鳥がいます。「カワセミですよ」との説明に、みなさん湧きました。しかし、枝にとまったと思っても、陰になる所でとまるので、ゆっくり見れません。動体視力の良い方は「青い!」とか言ってますが、私には色まで認識できないスピードです。人の気配を察してか、しばらくしても、カワセミが落ち着かないので移動することになりました。
出発して、ここに来るまでに1時間ぐらい掛かってました。これは久下氏の計算です。この時期は10時ぐらいからお昼ぐらいまでが、このポイントでカワセミが見れる確率が高いそうです。1時間ぐらいかけて、双眼鏡の使い方に慣れて、10時にこのポイントへやって来たのです。上手く行けば、5~10mぐらい先の枝にとまるカワセミが見れるかもという目論見でした。
残念なことに、カワセミを至近で観察することはできませんでした。
すこし離れた所で、池にいるハシビロガモ、ホシハジロなどのカモ目の野鳥や、ゴイサギなどを観察しました。そうこうしているうちに、久下氏が100m先ぐらいの木の枝にとまるカワセミをフィールドスコープで捉えました。
フィールドスコープ越しのスマホの画像なので、かなりピントが甘いですが、実際にフィールドスコープを覗くと、くっきりとピントが合っていて、その姿はとても美しく、女性の方々はうっとりしていました。
このように、一か所でじっと野鳥を待つのを、定点観測と言います。実際にこの付近で40分ぐらい居ました。
初心者が40分間じっと待つことはなかなか辛いですが、さすがプロガイドの久下氏、みなさんを飽きさせません。
日本庭園でカルガモ
日本庭園に移動してカルガモを観察です。先の黄色いくちばしを、ひっきりなしに水中に突っ込んで泳いでいます。エサの時間です。
この池に、ヌートリアが居ました。ヌートリアは特定外来生物に指定されている生き物です。日本の本来の生態系を破壊する動物で駆除対象となる生き物です。見かけても、けっして食べ物を与えないでください。
混群
日本庭園の横に立つ木々に様々な鳥が飛んできました。久下氏の説明がないと、きっと一種類の鳥だと思い込み、数種類の鳥とは分かりません(汗) シジュウカラ、メジロ、コゲラ、ヤマガラ、エナガが混じった群れで混群(こんぐん)と言うそうです。
混群に遭遇しても、この5種をすべて見れたのは、とてもラッキーなことだそうです。
木の上の方にとまっているので、私ではすぐに判断がつきません。写真を引き伸ばしてみたらジョウビタキのようです。
エナガ
木の枝に紛れて、遠目で一見しただけでは、鳥がいることに気付きにくいです。でも、木の方に視線を留めると、ちょこまかと動き回る何かがいる事に気付きます。
頭が白く、尾が長いのでエナガだと分かります。とても小さい野鳥です。
じっとする事はほとんど無く、すぐに飛び去ります。でも、群れで移動しているので、またすぐに別のエナガが木に飛んできます。
ジョウビタキのジョビコ
山ヶ池の畔の木の枝にジョウビタキがとまってました。先ほどの混群を観察している時は、木の上の方にとまる鳥たちを下から見上げるアングルでした。若干、逆光なこともあり、羽根の色をじっくりと見ることは難しい状況でした。しかし、このジョウビタキは、ほぼ目線の高さです。なんとキュートな佇まいでしょうか!
愛鳥家の間では、ジョウビタキのメスはジョビコ、オスはジョビオと呼ばれているそうです。
この写真は、フィールドスコープ越しのスマホのものです。
コゲラ
久下氏がガイドしてくれたから見れました。これほど木の幹と同化していると、初心者ではなかなか気付きません。ただ、ちょこちょこと動いているので、少し注意していると何かいるということは分かるはずです。ちょこちょこ動き回るので、なかなか上手く撮影できませんでした。ミラーレス一眼で乱写して、ちょっとマシなショットを引き延ばしたものです。ピントが合ってません。
ヤマガラ
こちらも、乱写して写った野鳥の写真を引き延ばしたものです。ピントが手前の幹に合ったショットですが、色や形が分かるので掲載しておきます。
ヤマガラですね。
久下氏が興奮!
そろそろ東中央広場の方へ戻ろうと、山ヶ池の端まで来た時です。池の淵で数人のバードウォッチャーが何かを見ています。久下氏がそのうちの一人に声を掛けると「アオバトや」とぶっきらぼうに教えてくれました。
久下氏が、その方の視線を追うとギョっとした表情でフィールドスコープをセットしようとすると、その方が「あわてんでも大丈夫や。二時間前からああしてる」と言うのです。そして、またもやぶっきらぼうに「二時間も見てたら飽きたから行くわ」とそのベストポジションを譲ってくれました。
新世界の立ち飲み屋でよく見かけるような風貌で、ぶっきらぼうな口調の方でしたが、とても優しい方でした。
順にスコープを覗くと、みなさん絶句!
実際にスコープを覗くと、この写真よりも遥かに明るい黄緑色。まるで作り物のようです。この鳥はアオバトと言います。
久下氏が興奮していたのは、服部緑地には毎年10~15羽のアオバトが飛来してきて、何度も見たことがあるが、いつも木の上の方にとまっていて、下から見上げるアングルしか見たことが無かったからだそうです。下から見上げると、ほとんどが腹部の白い部分なので、こんなに青々しいアオバトを見れたのは混群の5種以上に幸運だったそうです。
服部緑地 うづわ池
最後に、うづわ池でホシハジロやミコアイサを観察して、東中央広場へ戻りました。
この日に出会えた野鳥
東中央広場で、この日に服部緑地で出会えた鳥のおさらいです。久下氏が野鳥の名前を読み上げていくと、なんと全部で31種。実際に私が”見た”と実感できたのは、そのうちの20種ほどですが、大阪府下の公園でこれほど多くの種類の野鳥を見れたことに驚きました。
この日、家に帰ってから、インターネットの通販サイトで双眼鏡を検索しました。
見れた野鳥の一覧
オカヨシガモ | カモ目 | カモ科 |
ヒドリガモ | カモ目 | カモ科 |
マガモ | カモ目 | カモ科 |
カルガモ | カモ目 | カモ科 |
ハシビロガモ | カモ目 | カモ科 |
ホシハジロ | カモ目 | カモ科 |
キンクロハジロ | カモ目 | カモ科 |
ミコアイサ | カモ目 | カモ科 |
カイツブリ | カイツブリ目 | カイツブリ目 |
キジバト | ハト目 | ハト科 |
アオバト | ハト目 | ハト科 |
ゴイサギ | ペリカン目 | サギ科 |
アオサギ | ペリカン目 | サギ科 |
コサギ | ペリカン目 | サギ科 |
オオバン | ツル目 | クイナ科 |
ハイタカ | タカ目 | タカ科 |
カワセミ | ブッポウソウ目 | カワセミ科 |
コゲラ | キツツキ目 | キツツキ科 |
ハシボソガラス | スズメ目 | カラス科 |
ハシブトガラス | スズメ目 | カラス科 |
ヤマガラ | スズメ目 | シジュウカラ科 |
シジュウカラ | スズメ目 | シジュウカラ科 |
ヒヨドリ | スズメ目 | ヒヨドリ科 |
ウグイス | スズメ目 | ウグイス科 |
エナガ | スズメ目 | エナガ科 |
メジロ | スズメ目 | メジロ科 |
ツグミ | スズメ目 | ヒタキ科 |
ジョウビタキ | スズメ目 | ツグミ科 |
スズメ | スズメ目 | スズメ科 |
キセキレイ | スズメ目 | セキレイ科 |
ハクセキレイ | スズメ目 | セキレイ科 |
バードウォッチング ガイドツアー
バードウォッチング基礎知識
久下直哉氏監修のバードウォッチング基礎知識です。バードウォッチングを始める方は参考にしてください。
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