蜻蛉の滝から吉野山縦走 登山ツアー レポート
ツアー日:2015年4月11日(月)日帰り 天候:雨~曇り(一時晴れ)
ガイド:森田秀樹 添乗:湯浅教治 レポート:西岡晃良
ツアー行程
梅田 =バス= 蜻蛉の滝公園(360m) … 蜻蛉の滝(せいれいのたき) … [山中 弁当] … 青根ヶ峰(858m) … 金峯神社(きんぷじんじゃ) … 高城山 … 水分神社(みくまりじんじゃ) … 高滝 … 宮滝(185m) =バス= 梅田
ポイント
- 皇居や京都・丸山公園に並ぶ桜の名所の一つ 吉野の桜
- 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部である吉野山の最高峰「青根ヶ峰」登頂
- 世界遺産の建造物、吉野水分神社・金峰神社を見学
- 蜻蛉の滝(高さ約50メートル)と高滝(高さ15メートル)
- 蜻蛉の滝公園の枝垂れ桜
蜻蛉の滝から吉野山縦走 ツアーレポート
梅田で集合時間の7:50時点では小雨がぱらつく天候ですが、気象予報士でもあるガイドの森田氏によれば、現地到着時には雨は上がり、山頂に着くころには晴れ間も期待できるかもとの事。バスは定時出発で吉野へ向かいます。高速道を走っている時点で、雨は上がりました。
吉野の中千本周辺は桜が満開という事で多少の渋滞は予測していたものの、休憩所よりもはるか手前で、観光とは違う渋滞に巻き込まれ、蜻蛉の滝公園には予定よりも30分遅れで到着となりました。
蜻蛉の滝公園の枝垂れ桜
吉野川沿いの桜は見頃を過ぎて既に散り始めていましたが、蜻蛉の滝公園の枝垂れ桜は満開で、みんなを迎えてくれました。枝垂れ桜はソメイヨシノよりも、少し咲く時期が遅いのです。
この公園のお手洗いは洒落た名前が付いていて「桜の香和家」という名前が掲げられています。
この洒落た厠の前で準備体操をして準備完了です。
蜻蛉の滝を目指して出発
標高360mの蜻蛉の滝公園から、標高858mの青根ヶ峰山頂を目指します。約2時間の予定です。(10:13)
まずは蜻蛉の滝を目指して歩き始めます。
苔むす石段を登ります。
雨上がりで濡れているので、滑りやすい状態です。
写真の階段はそれほど急ではありませんが、少し急になった途端に足元が不安定になります。
みんな慎重に足を運びます。
蜻蛉の滝 到着
看板にあったように、5分ぐらいで蜻蛉の滝に到着しました。
蜻蛉の滝は2段になっていて高さ50メートルほどある滝です。左の写真の地点では、ちょうど上段の滝の中央ぐらいの高さから見れます。
すぐ横に らせん階段があり、その階段を下りると、上段の滝を見上げ(写真:左)、下段の滝(写真:右)を見下ろすことが出来ます。
これが、なかなかの迫力です。
(10:23)
整備されているが 滑りやすい登山道
音無川沿いに谷間を進む登山道は、非常に整備されていますが、川沿いの道だけに石が多く、雨上がりの為に非常に滑りやすい状況です。途中の橋や、木でできた補助道もかなり足が滑り緊張感が走ります。
予定は遅れていますが、事故を起こさないように慎重に進みます。慎重に進む分、更に予定よりも遅れ気味ですが安全第一です。
ガイドの森田氏の判断で、谷から峰へ登る前に昼食の弁当を食べる事になりましたが、予定よりも遅れているので、食事の時間をゆっくりとかける事が出来ずにあわてて食べて出発しました。
お弁当はとても美味しかったし、心温まる手書きのメッセージが添えられていたのですが、あわてて食べて、食べ終わってから、お弁当の写真を撮りそこなっていることに気付きましたが時遅し。
申し訳ございませんが写真はございません。美味しかっただけにとても悔やまれます。
青根ヶ峰山頂を目指して谷から峰へ登る
食事後に谷からジグザグな登山道を峰へ登ります。谷川沿いの道に比べ、坂は急になり、濡れている部分では更に足が滑り、晴天時よりも歩行に苦労します。自然と列は伸びますが、後方から付き添う添乗の湯浅氏が遅れがちな方をフォローして、途中の舗装道路まで登ります。
舗装道路で隊列を整えて、道路を横切り山頂へ向かう急坂をまっすぐに登ります。(写真:上)
青根ヶ峰山頂までの最後のアプローチです。
青根ヶ峰山頂に到着
青根ヶ峰の山頂(写真:上)は大きな木に囲まれているので、展望はあまり良くはありませんが、南北8kmに伸びる吉野山の最南端で最高峰(標高858m)です。
山頂には三等三角点(写真:左)があります。
(13:36)
金峯神社(きんぷじんじゃ)へ
山頂から金峯神社へ向かって下山し始めます。
途中、平安時代末から鎌倉時代の歌人「西行法師(さいぎょうほうし)」の庵へ行く道もあります。
片道20分程の遠回りとなるので、元々からこのツアーの行程には含まれておりません。
西行は松尾芭蕉とも交流があり、西行が滞在した3年間の間に、芭蕉は2度も訪れたそうです。
世界遺産 金峯神社(きんぷじんじゃ)
金峯神社は、2004年に世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一部となる建造物の一つです。
藤原道長が詣でた事が記されているので、平安時代よりも前からある歴史のある神社です。
また、金峰神社の境内から少し下がった所に「義経隠れ塔」があります。
【義経隠れ塔】
平家を滅ぼした源義経は、兄である源頼朝にとって目障りな存在となり、頼朝と対立します。
義経は後白河法皇に奏上し、頼朝追討の院宣を得たものの、逆に法皇が義経追討の院宣を出し、窮地に陥ります。
一度、西国・九州に逃れ体制を立て直そうと、船出しますが暴風で難破してしまい、九州行を断念。
吉野に身を隠すしか方法が有りませんでした。
その時に隠れていた塔が、金峰神社の境内から少し下がった所にある「義経隠れ塔」です。(大正初年に再建)
しかし、追討は厳しく、源義経と弁慶が屋根を蹴破って逃げた事から「蹴抜の塔(けのけのとう)」とも呼ばれています。
(14:42)
奥千本へはバスで上がってこれますし、下千本からの道は舗装されているので、中千本あたりほどでは無いものの観光客でごった返していました。女性用トイレは20分近く並んでいました。
そのために、「義経隠れ塔」の見学はカットとなりました。女性客の方がトイレ待ちしている間に見てこようかと思いましたが、団体行動を乱す訳に行かないので、ぐっと堪えて断念しました。
高城山からの展望
奥千本の桜は、木によっては3分咲き~5分咲きぐらいでした。遠くに関西百名山の金剛山と葛城山が見えます。
吉野山は、役小角(えんのおづの)が開いた信仰山でが、吉野山だけでなく熊野まで開き、吉野から熊野を縦走する山岳修験道の修行の道とし、大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)を開きました。
役小角は、飛鳥時代に今の奈良県御所市(生誕の地に吉祥草寺が建立されています)で生まれた実在の人物です。
幼少のころから大和葛城山を庭のようにし、葛城山や金剛山で山岳修行を行います。
その後、吉野から熊野にかけての山々で修業を重ね、修験道の開祖となりました。
役行者(えんのぎょうじゃ)の幼名が役小角であるとか、役行者は通称で本当の名前が役小角であるとかの説があります。
(15:00)
吉野 水分神社(よしの みくまりじんじゃ)
吉野 水分神社は、2004年に世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一部となる建造物の一つです。
吉野山 青根ヶ峰に位置しますが、青根ヶ峰は東へ音無川、西へ秋野川、北へ喜佐谷川が流れる源流となることから「水分」という名前が付いたとされています。
社の屋根が3つに分かれているのが建造物の特徴です。(写真:上)
平安時代中期ごろから、「みくまり」が「みこもり」となまり、子授けの神として信仰を集めるようになりました。
豊臣秀吉もこの地を訪れ秀頼を授かったといわれています。
桃山時代に豊臣秀頼が寄進した湯釜が展示してありました。(写真:左)
絶景! 吉野 上千本 中千本
このツアーのハイライトです。
奥吉野から上千本・中千本の桜を見下ろす絶景です。中千本が満開で、見応えがある絶景です。山の峰を見れば一番向こうに金峯山寺蔵王堂(世界遺産の建造物)が見えています。
ここで、吉野山の桜について書いておきます。
吉野の桜は、天然の山桜ではなく、植樹されたものです。
一口に植樹と言っても、平安時代から植え続けられ、その本数は3万本という、歴史と規模が想像を絶するものです。
何故に吉野に桜が植樹されたかというと、吉野を開いた修験道の開祖とされる役小角(えんのおづの)が彫った蔵王権現像(ざおうごんげんぞう)の材木が桜樹であったことから、桜が神木とされました。
平安時代から、供養として吉野に桜の苗を寄進する風習が起こり、今に至るのです。
特に桜を多く植えてある所を一目千本と呼び、標高の低い方から、近鉄吉野駅から金峯山寺辺りを「下千本」、金峰山寺から竹林院辺りを「中千本」、竹林院から吉野水分神社あたりを「上千本」、その奥を「奥千本」と呼びます。
「下千本」と「奥千本」は標高差が有るので、下から順に桜が満開になっていき、桜のシーズンが長い期間に渡るのも、吉野の桜の魅力の一つです。
大滝への下り道
奥千本の喧騒を後にして、バスが待機している宮滝へ下山していきます。
宮滝には縄文時代からの遺跡があり、飛鳥時代の頃には離宮があったとされる由緒あるところです。
(15:31)
高滝
途中から川沿いに谷道を下りていきます。かなり下りてきたところに高滝と言う名前の滝があります。
雨が降った後だからか、近くまで行くとかなり迫力がありました。
桜木神社
ここまで下りてくれば大滝まではあと少しです。桜木神社の横に公衆トイレが有るので、トイレ休憩をします。
水道もあるので、泥だらけの登山靴の泥を洗い流します。
(16:45)
吉野川
吉野川にかかった橋を渡り伊勢街道に出れば、バスが待っています。
バスに荷物を積んで、駐車場でクールダウンの体操をします。
滑りやすい道を長時間歩いていたためか、緊張で体が強張っていたのでしょう。背伸びや柔軟をすると、音を立てて体が伸びていきます。
うーん、気持ちが良いです。登山後に、体をほぐすのは大事ですね。
(17:13)
大阪 梅田に帰着
添乗員の湯浅さんはいつも「全員登山・全員下山」を目標にしていると言っておられました。
今日のように足元が悪いと、全員が無事に誰一人断念せずに登頂でき、全員が無事故で下山出来る事に対しての喜びは大きいです。
皆さんが笑顔でバスから降りられ、帰途につかれました。
また、皆さんと楽しい山行が出来たらと良いなあと思いました。
記:西岡晃良
吉野の登山ツアーの一覧
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