屋久島・宮之浦岳 登山&白谷雲水峡トレッキング レポート
2022年5月28日(土)から2泊3日で、女性のための登山情報サイト山ガールネットとの共同企画【山ガールチャレンジ】屋久島・宮之浦岳登山&白谷雲水峡トレッキングツアーに同行してきました。
屋久島・宮之浦岳・白谷雲水峡について
屋久島は花崗岩が隆起して誕生した島で、東京23区程の広さの島に1500m以上の高峰が11座、1000mを超える山が30座以上もある「洋上のアルプス」ともいわれる特徴的な地形のため、海からの湿った風が山にあたると「月に35日雨が降る」(林芙美子「浮雲」)とも例えられるほど大量の雨が降る、年間降水量日本一の多雨地域です。島の総面積約500平方キロメートルのうち宮之浦岳を含む約107平方キロメートルが世界遺産に登録されていますが、これは、樹齢1,000年を超える屋久島固有の屋久杉がつくり出す森林景観の自然美が日本の自然遺産の中で唯一評価されたのと、九州と陸続きであったはるか昔に生息していた二ホンザルやニホンジカが、約1万5000年前に氷期が終わり海面が上昇して島に取り残された結果、ヤクザルやヤクシカなどの固有亜種として独自の生態系を示している点が評価されたものです。
前述したように世界遺産でもある宮之浦岳は、屋久島のほぼ中央部に位置する九州最高峰(1,936m)で、日本百名山、九州百名山に選ばれています。西日本では、愛媛県の石鎚山 (1,982 m)、徳島県の剣山 (1,955 m) に次ぐ、第3の高峰でもあります。
また、白谷雲水峡は、映画「もののけ姫」のモチーフになったとも言われる苔むした深緑の原始の森と清冽な渓谷を堪能できる癒しのスポットです。
今回は、初日に鹿児島本港から屋久島まで移動し、2日目に宮之浦岳をピストン登山、3日目に白谷雲水峡の苔むす森までをトレッキングして鹿児島本港へ戻るツアーです。
なお、今回の宮之浦岳と白谷雲水峡では屋久島の雨を身をもって体感することになりました。宮之浦岳に登り始めて間もなく、私のカメラにも水が入り込み、その後撮った写真の殆どがくもったりボヤけたものとなってしまいました。以下では当時の写真をそのまま使用しています。
登山ツアーの行程
登山ツアー 1日目
鹿児島本港(13:00発) ~~~ 高速船 ~~~ 宮之浦港(15:30着) ・・・ 宮之浦(15:45頃着)
(※屋久島集合解散の方は THE HOTEL YAKUSHIMAロビーへ)
登山ツアー 2日目
宿舎(5:00発)===淀川登山口(1360m/6:30発) ・・・ 花之江河 ・・・ 投石平 ・・・ 宮之浦岳(1936m) ・・・ 淀川登山口(17:30頃着)===宿舎(18:30頃着)
◎距離16km、行動予定約11時間、獲得標高1730m
登山ツアー 3日目
宿舎(7:00発)===白谷雲水峡入口(620m/7:30発) ・・・ 二代大杉 ・・・ 三本足杉 ・・・ 白谷小屋 ・・・ 苔むす森(870m) ・・・ 白谷雲水峡入口(11:00発)===安房港/各自昼食(13:30発) ~~~ 高速船 ~~~ 鹿児島本港(15:30着)
◎距離4km、行動予定約3時間半、獲得標高730m
登山ツアー 1日目:屋久島上陸
初日は移動日。鹿児島本港集合の山ガールの皆さんと高速船トッピーに乗り、屋久島の玄関口 宮之浦港へ向かいました。屋久島集合の山ガールさんとは、屋久島滞在中にお世話になる宮之浦港近くのTHE HOTEL YAKUSHIMAで合流。ホテルの近くに観光センターやスーパー等もあるので、夕食までの時間は散策やショッピングを楽しんでいただきました。私も宮之浦岳や白谷雲水峡での行動食に良さそうな名産/特産品を中心に買い物をしてみました。ちなみに、高速船の名前にもなっている「トッピー」とはトビウオのこと。種子島屋久島地方ではトッピーと呼ばれ、盛んに漁が行われ、漁獲量は日本一で全国の7割以上。また、トビウオといえばあごだしのイメージですが、屋久島ではトビウオは唐揚げにしたりすり身を揚げたり…と立派な食べるお魚です。
ホテルからの景観
夕暮れのホテルから、海に浮かぶ薩摩硫黄島等の眺めを楽しむお客様。
薩摩硫黄島は、九州本土と屋久島の間にある、霧島火山帯に沿って噴出した海底火山の一つです。
薩摩富士との異名を持つ開聞岳もとてもきれいでした。美味しい夕食や大浴場で癒された後は明日に備えてしっかり休みましょう。
登山ツアー 2日目:宮之浦岳登山
屋久島2日目は行動時間が長いので朝早く宿を出ます。写真は朝食(上)と昼食用(下)のお弁当。
屋久島登山には、朝用・昼用のお弁当が欠かせませんが、24時間営業のコンビニはなく、代わりに早朝から営業しているお弁当屋さんが複数あります(事前予約必要)。この日は朝の3:30に2食分のお弁当を人数分届けていただきました。
淀川登山口から登山開始
淀川登山口に到着。
本日はロングコースを歩くので、靴紐のほどけない結び方などもレクチャーしつつ、
雨の中準備を整えて出発です。
コケの森を歩く
映画「もののけ姫」が目に浮かんでくるような登山道を歩きます。この辺りは日本蘚苔類学会により日本の貴重なコケの森に選定されている場所でもあります。
淀川小屋
避難小屋 淀川小屋で休憩タイム。
淀川の水は、とてもきれいです。
ヤクシマシャクナゲやサクラツツジ
固有種あるいは固有変種のヤクシマシャクナゲが見頃でした。
ヤクシマシャクナゲは、蕾のうちは濃いピンク色ですが開花するにつれ退色して淡紅色から白へと変化していきます。
桜色のサクラツツジも負けじと咲き誇っていました。
高層湿原 花之江河
淀川登山口から約4kmのところ、日本最南端にある高層湿原 花之江河(はなのえごう)。
高層湿原というのは、低層湿原に生えているヨシやスゲといった植物が枯れて堆積が進んだ結果、周囲よりも盛り上がった湿原のことで、周囲よりも高くなったために地下水では涵養されず、雨水のみで維持されている湿原です。尾瀬ヶ原が有名です。
黒味岳が一瞬姿を見せてくれましたが、写真を撮る前に再びガスの中に隠れてしまいました。
投石平
石を投げ散らかしたような風景が広がる投石平。
投石平から眺めた投石岳(1,830m)は、花崗岩の奇岩やヤクシマシャクナゲがとてもきれいでしたが、あまりゆっくりしていても体が冷えてしまうので、適度に休憩して先を急ぎます。
ヤクシカ
途中、固有亜種のヤクシカが夢中で草を食べていました。
屋久島に伝わる伝説の多くに神々と共に登場するヤクシカですが、近年では増え過ぎて生態系への被害が問題となっています。
ヤクザル
花崗岩に座っているのは、固有亜種のヤクザル(ヤクシマザル)です。雨は気にならないのか何匹かのヤクザル達が屋根もないところにたたずんでいました。
宮之浦岳 山頂
屋久島と九州の最高峰 宮之浦岳に全員で登頂!!皆さん、本当によく頑張りました。
余談ですが、宮之浦岳は深田久弥氏によって何番目に日本百名山に選定された山でしょうか?答えは1枚目の写真の中にあります。2枚目の写真は、この瞬間に九州で最も高い場所を独占した山ガールさんです。
登頂後は、もと来た道を下山しました。雨の中の登山。眺望は望めなかったものの、今後あちこちの山にチャレンジするためにも大変貴重な経験になったと思います。
登山ツアー 3日目:白谷雲水峡トレッキング
最終日も朝からかなりの雨が降っていました。
白谷雲水峡入口へとバスで行くことはできたものの、前日から降り続く雨の影響で途中にある複数の橋もない沢が増水している可能性があったため、残念ですが苔むす森へ向かうことは断念し、沢を避けたコースを少しだけ楽しむことにしました。しっかり雨対策をして出発です。
とても雰囲気の良い歩道をのんびり歩きます。が、、前日のハードな山行で全身筋肉痛になっていた方が沢山いて、皆さん、どことなくぎこちなかったです。
樹齢1,000年を超える屋久杉。花崗岩からなる栄養分の少ない地表では杉はゆっくり成長したことで防菌・抗菌・防虫作用がある樹脂を多く蓄え、また、多雨地域における湿度の高さも杉に樹脂の分泌を促したため、屋久杉は腐ることなく長い樹齢を保つことができたそうです。
そして、白谷雲水峡でも幾つもの有名人ならぬ有名杉に出会うことができます。折れてしまった一代目の杉の上に二代目の杉が成長した白谷雲水峡のなかで最も高い二代大杉をバックに一人一人記念撮影をしました。
根元が三本に分かれた三本足杉も見事で、周りをヤクザルが動き回って楽しませてくれました。
「苔むす森」の看板がある地点までは行くことができませんでしたが、宇宙人のようなヒメシャラに出会ったり、雨に濡れてより生き生きとした苔の森をこの目に焼き付けることができました。
ツアー解散後
屋久島空港で屋久島集合解散だった山ガールさんとお別れした後、バスのドライバーさんおすすめのお店で屋久島名物のトッピー料理「とびうお ひつまぶし」を食べたり、ショッピングを楽しみ、安房港の高速船トッピーのりばに向かいました。
鹿児島本港にて解散しましたが、解散後も、山ガールの皆さんは誘い合って天文館に氷白熊(しろくま)を食べに寄ったり、鹿児島空港で一緒にショッピングや食事を楽しんだり、次に参加したいツアーについて話し合ったり…3日間ですっかり仲良くなったご様子でした。
山ガールの皆さん、お疲れ様でした!そして、ありがとうございました。またのご参加をスタッフ一同 心よりお待ちしております。
ガイド:池義孝
ツアーリーダー:小西友恵(東京スタッフ)
宮之浦岳の登山ツアーの一覧
ツアーの一覧を別画面で表示します。必ず、コース詳細ページの「旅程」などツアー内容を確認上、ご予約下さい。