初めてのバードウォッチング 箕面公園 ツアー・レポート

1/7(金)に、野鳥ガイドの久下氏が案内してくれる初めてのバードウォッチング 箕面公園に同行してきました。

冬の箕面でのバードウォッチングは、アオバトジョウビタキシロハラツグミアトリマヒワクロジなど、さまざまな冬鳥と出会える機会があります。できれば見てみたいのはルリビタキです。オスの成鳥は頭から背にかけて青色で、脇は黄色で、胸と腹は白で、とても美しい野鳥です。

箕面駅で集合

朝一番、久下氏から「前日に同じコースを歩きましたが、この時期の箕面にしては鳥が少なかったです。今日は、鳥を見つけるために鳴き声に神経を集中させるので、言葉数が少なくなりますが、無口なガイドとは思わないでください」と軽いジョーク混じのご挨拶が。
同行する私には、鳥が少なくても、一種でも多くの野鳥を皆さんに見せてあげたいという、久下氏の気迫が伝わってきました。

また、「私のバードウォッチング・ツアーは、ただ単に野鳥を見せるのではなく、見つけ方を覚えていただき、見方(観察のポイント)を説明するツアーです」との事。この説明は毎回されています。ツアーとツアーの合間、皆さんがソロ・バードウォッチングをする時に、少しでも多くの野鳥を見れるように、このツアーで、バードウォッチングのスキルを上げてもらうのです。

川でのバードウォッチング

川でのバードウォッチング

箕面公園の川は、バードウォッチングの重要なウォッチング・ポイントです。川の水を飲んだり、水浴びしたりするために、多くの野鳥がやってきます。また、水の中でエサを捕るカワガラスは、大阪府下で箕面公園が、もっとも観察する機会があるのです。川の奥(遠く)から手前方向に、川の淵、川の上に張り出している木の枝、水中、石の上などをチェックします。遠くから手前方向にチェックするのは、川だけでなく、いろいろな状況でも共通します。

山中でのバードウォッチング

山中でのバードウォッチング

山中の見通しの良い場所でのバードウォッチングも基本に忠実に、遠くから近くへとチェックします。稜線の木立の梢にオオタカハイタカといった猛禽類が止まっている場合があります。そう頻繁にいている訳ではありませんが、もしかしたら今日はいるかもしれません。確率が低くても、チェックしないことには、見る機会は限りなく少なくなります。だから、常にチェックです。
葉の落ちた木の枝や梢は必ずチェックです。葉の茂った木に鳥が飛び込むのを見つけても、遠くだと個々を見ることは難しいです。葉の落ちた枝などに止まっていると、双眼鏡で鳥の姿を捉えることは、それほど難しくはないはずです。

アオバト

久下氏アオバトを捉えました。皆さん、双眼鏡で探しています。

アオバト

写真を撮影する前に飛んでしまいました。参考に以前のツアーで久下氏が撮影したアオバトの写真を掲載しておきます。

山道のチェックポイント

山道のチェックポイント

山道を歩く場合、不用心に踏み込むのではなく、先ずは野鳥がいないかチェックしてから進みましょう。歩いていると、目の前で鳥が飛び立つことがあります。もっと手前で気付いていれば、足を止めて距離をおいて、双眼鏡で観察できたはずです。このパターンは、バードウォッチングでよくある事です。

薄暗い雑木林

薄暗い雑木林

薄暗い雑木林に来ました。ここに着くなり、久下氏トラツグミを見つけて、皆さんに案内をしていたそうです。私は、少し手前で地鳴きするクロジを撮影しようと躍起になっていましたが、上手く行かず、諦めて追いついた時にはトラツグミはいなくなっていました。寅年にトラツグミを見れて、皆さんは大喜びしていました。

トラツグミ

写真を撮影する前にいなくなったので、以前に久下氏が撮影してくれたトラツグミの写真を掲載しておきます。

この場所は、昨年ルリビタキを見た場所です。もともと、ルリビタキは薄暗い雑木林で見られることが多い野鳥です。ここは、朽ちた倒木があり、ルリビタキのエサとなる虫がいます。近くには、エナガやクロジなどが水を飲んだり水浴びをする水場があります。しばらく待てば、ルリビタキが姿を現す可能性がある場所ですが、ツアーなので、いつ現れるか分からないルリビタキを長時間の出待ちをする訳にはいかず、次に行こうとした瞬間、皆さんが見ていた方向では無い方の林道の上を青いものが横切りました。一瞬でしたが、ルリビタキと分かる色です。低木の枝に止まっているのが肉眼でも分かります。肉眼では姿かたちが分かる距離ではありませんが、明るい青色からしてルリビタキと分かります。双眼鏡を合わせてみると、間違いなくルリビタキで「ルリビタキ!」と久下氏に知らしましたが、久下氏がこちらに来る前に飛んでしまいました。

ジョウビタキ

少ししたら近くに現れる可能性が高いので、待ってみることになりました。待っている間に、ジョウビタキシロハラが現れ、観察していると、参加者の方がルリビタキを発見!皆さんも、双眼鏡で観察できました。実は、このルリビタキを発見した参加者の方は、昨年に久下氏がこの場所でルリビタキの写真を撮影し、その写真を見て、自分の眼で直にルリビタキを見たいとバードウォッチングを始めたのです。そして、このツアーならルリビタキを見ることができるかもと思って参加してくださいました。
その事を知っていたので、私は、久下氏が目の届かない場所をチェックしていたら、たまたま私の視界に現れたのです。後は、彼の執念が再びルリビタキを捉えることとなりました。

ルリビタキ

ルリビタキはちょこまか動き回ったので、写真撮影ができなかったので、昨年に久下氏が撮影したルリビタキの写真を掲載しておきます。(先ほどの参加者の方は、この写真を見てバードウォッチングを始めました)

滝道を行く

ルリビタキ(オス・幼鳥)

日本最古の弁財天で、宝くじ発祥の地である瀧安寺を経て、滝道を登っていきます。途中で川の東側に渡ります。この橋の上で、昨年はジョウビタキ(オス)とルリビタキ(オス・幼鳥)を見ています。また、橋の上からカワガラスがいないかチェックです。すると、久下氏ルリビタキ(オス・幼鳥)を発見。皆さん、双眼鏡で観察しました。
写真撮影ができなかったので、昨年に久下氏が撮影したルリビタキ(オス・幼鳥)の写真を掲載しておきます。ルリビタキのオスが先ほどのような色になるには、産まれた年から2年後のシーズンになります。(2年目は暗い青色)

アオバトの羽

滝道を歩きます

川の淵に、ルリビタキジョウビタキカワセミなどの野鳥がいないか、川の淵や石の上にミソサザイがいないか、川の中にカワガラスがいないかをチェックしながら滝道を歩きます。昨年はこの辺りでルリビタキミソサザイを見つけています。

アオバトの羽

久下氏が、道の端に散乱しているアオバトの羽を見つけました。おそらくオオタカハイタカのような猛禽類に襲われた跡だろうということです。参加者のお一人が「いつ頃のことですか?」と尋ねると「昨日は無かったし、羽の状態から今日の出来事だと思います」と答えていました。
バードウォッチングは、落ちている野鳥の羽を集めるのも楽しみの一つと説明しておられました。

アトリの群れ

アトリの群れ

参加者の方が、小鳥の群れが、木から木へ飛び移っていくのを発見。「白く見えるのはアトリの腰のあたりです」と教えてくれて、双眼鏡で見ると確かにアトリです。この日、アオバトトラツグミルリビタキクロジなど他にも数種類の鳥を見ることができていますが、ジョウビタキの写真しか撮れていません。アトリは、すぐに他の木に移っていく上に、その木々までの距離はかなりあるので撮影は無理と思ってましたが、「とりあえずアトリぐらいは押さえておきましょう」と久下氏がスマスコ撮影しました。アトリはすぐに飛び去るのですが、次に来るアトリも同じ辺りに止まるので、アトリが良く止まる場所を見つけて、スタンバイし、そこにアトリが来た瞬間を撮影するという高度なテクニックで、数枚の写真を撮影されました。
※スマスコ撮影=スコープのレンズ越しに、スマホのカメラで撮影する方法。

箕面大滝で昼食休憩

箕面大滝で昼食休憩

箕面大滝に到着して昼食を食べている時、参加者の方のカラアゲをサルに奪われるという事件が発生しました。少し前までは、箕面のサルは山に引きこもっていたのですが、最近、また出没するようになったそうです。皆さんも、気を付けてください。

カワガラスを探そう

カワガラスを探そう

さあ、帰り道はカワガラスを探すことに重きをおいて進みます。そして、とうとう久下氏は見つけました。川の中でもぞもぞ動く茶色い鳥を。カワガラスです。

カワガラスを探そう

川の中の石の隙間や、石の裏にいるカゲロウの幼虫や、泳いでいる小魚などをエサにします。しきりに水中に頭を浸けてうろうろしています。

充実のバードウォッチング 終了

前日の状況から、久下氏はあまり野鳥が見れないのではと心配されていましたが、最後に出会った鳥を挙げてみれば、ジョウビタキアトリシロハラクロジなどの冬鳥や、アオバトルリビタキカワガラスなど、狙っていた野鳥を見れた上に、トラツグミまで見れるという充実したバードウォッチングになりました。

出会えた野鳥の一覧

今回の 初めてのバードウォッチング 箕面公園で出会えた野鳥の一覧です。

種名渡り
カルガモカモ目カモ科留鳥
キジバトハト目ハト科留鳥
アオバトハト目ハト科冬鳥
コゲラキツツキ目キツツキ科留鳥
リュウキュウサンショウクイスズメ目サンショウクイ科漂鳥
ハシブトガラススズメ目カラス科留鳥
ハシボソガラススズメ目カラス科留鳥
ヤマガラスズメ目シジュウカラ科留鳥
シジュウカラスズメ目シジュウカラ科留鳥
ヒヨドリスズメ目ヒヨドリ科留鳥
ウグイススズメ目ウグイス科留鳥
エナガスズメ目エナガ科留鳥
メジロスズメ目メジロ科留鳥
ミソサザイスズメ目ミソサザイ科留鳥
カワガラススズメ目カワガラス科留鳥
トラツグミスズメ目ツグミ科冬鳥
シロハラスズメ目ヒタキ科冬鳥
ツグミスズメ目ヒタキ科冬鳥
ルリビタキスズメ目ヒタキ科冬鳥
ジョウビタキスズメ目ヒタキ科冬鳥
スズメスズメ目スズメ科留鳥
キセキレイスズメ目セキレイ科留鳥
アトリスズメ目アトリ科冬鳥
イカルスズメ目アトリ科留鳥
アオジスズメ目ホオジロ科冬鳥
クロジスズメ目ホオジロ科冬鳥

 夏鳥 冬鳥 旅鳥 留鳥 に関する詳細は、バードウォッチング基礎知識 鳥の渡りのページをご覧ください。

『日本鳥類目録 改訂第7版』(日本鳥学会2012)準拠

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久下直哉氏監修のバードウォッチング基礎知識です。バードウォッチングを始める方は参考にしてください。

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