5/10から5日間の日程で北海道にあるロングトレイル・北根室ランチウェイをご案内しました。

コースの全長は約70km。中標津空港から西に牧草地や森林地帯、いくつもの川や丘を越え、

霧で有名な摩周湖を越えてJR釧路本線の美留和駅まで歩くという設定になっています。

 

このコースは地元の牧場主と有志が協力して、雄大な大地にトレッキングコースを作ろうという

挑戦の末、今から10年ほど前に完成したものです。今ではようやくTVやガイドブックなどにも

取り上げられるようになり、少しずつ有名になってきました。

私は今回2度目ですが、このコースは日本離れした風景と変化に富んだロングトレイルが味わえる

ということでは他に類を見ないほど素晴らしいコースです。

以前何度も歩いたことのあるイギリスのコッツウォルズの田園風景を

思い起こすような地形が続きます。

 

今回私たちは美留和駅から中標津空港へと逆コースをたどって歩きます。

 

初日午後女満別空港から専用車で移動し、美留和駅に到着。駅といっても駅員さんも改札もなく、

列車を改造した待合室があるだけでトイレもありません。

 

ここで今回私たちをガイドして下さる伊藤さんと合流。北根室ランチウェイの創成期から

コースの設定にずっと尽力されてきた方です。

 

駅を出発して牧草地のわきを摩周湖に向かって歩きます。ところどころに標識があるものの、

雄大なスケールのコースなのでやはり道案内が必要です。

 

林道を進むとやがて道は山道となり、まだ残雪が少しありました。

 

林道のわきにはフキノトウやオオバナノエンレイソウ、エゾヒメイチゲなども見ることができました。

 

登りの山道をしばらく進むと、車道に合流し摩周湖の展望台へ到着。初日はここまでです。

専用車で移動して名湯・川湯温泉にて宿泊しました。

 

2日目は摩周湖の縁を周って登山の行程です。あいにくの天候で展望はほとんどありません。

 

気温が低く風も強いので黙々と進みます。

 

西別岳の山頂を越えるとやがて道は下っていきます。

 

西別小屋まで下るとそこからは平たんな林道となり、車が迎えに来るポイントまであともう少し。

 

本日と明日、2連泊でお世話になった養老牛温泉にて名物・養老牛放牧牛乳を飲みました。

これが全く臭みがなく濃厚な味わいで、これぞ牧場の牛乳といった感じです。

温泉も素晴らしい泉質でゆったりくつろぐことができます。

 

 

3日目は昨日車に乗った地点まで戻り、牧場脇のコースや湿地帯、牧場の中をいくつか通り抜け、

モアン山という小山を越えて養老牛温泉まで歩きます。

 

どこまでも続く道と防風のための唐松林。

 

雄大な景色の中、どんどん進んで行きます。KIRAWAYとは北根室ランチウェイの略称です。

 

湿原や低湿地の前後にはこのようなクマよけがあり、大きな音を出して入って行きます。

牧場が多いので本州から来た人間には想像もつかないのですが、やはりここは北の大地、

ヒグマのテリトリーでもあります。

 

きれいな小川を渡って湿原を歩き、そこを抜けてしばらく歩くと今日のハイライト。

 

モアン山への道に入りました。このコースは実は期間限定で雪解けから5月の中旬、または

年によっては下旬までしか通行することができません。その時期になると放牧が開始されるため、

それ以降は部外者の立ち入りはできないのです。前回このコースを歩いた時はちょうどその放牧

時期にあたったため、このモアン山に登ることはできませんでした。

それを教訓に今回はばっちり登れる時期を選定したというわけです。

 

昨日とはうってかわって快晴の中、山頂を目指します。

 

足元には芽吹いたばかりのフキノトウ。

 

牧場の脇からひと登りすると。

 

広い大展望の山頂へ到着しました。

 

思い思いにランチタイム。

 

この快晴のお天気の中で食べるおにぎりが美味しいのです。

 

遠くに昨日登った西別岳が見えます。その奥には阿寒の山々。

 

左奥に頭を出したピークは雄阿寒岳と見受けられます。

 

素晴らしい大パノラマ。この瞬間だけでもここへきて良かったと思えます。

地平線が丸みをおびているのが分かるでしょうか。

 

素晴らしい景観を堪能した後は養老牛温泉に向かってあとひとがんばり。

 

4日目はいくつもの牧場と森を通り抜け、開陽台という展望地まで歩きます。

 

順調に歩いて行きます。今日のお楽しみは・・コース途中にある牧場の中のレストラン。

 

佐伯牧場の中にあるレストラン牧舎です。

 

こちらの名物が新鮮なカッテージチーズをフライしてカレーの上にのせた一品。

これが美味しい!

 

昼食を終えて出発の際、佐伯牧場のご主人が挨拶に出てくれました。

この佐伯さんこそ伊藤さんとともにこのコースを考えた発起人。

お忙しい中いろんなお話をお伺いでき、とってもきさくな楽しい方でした。お世話になりました。

 

昼食後も日本とは思えない景観の中をどんどん進んで行きます。

 

ただ歩くことがこんなに楽しくなるなんて。

 

これは歩いたひとにしかわからないでしょう。

 

この記事を見て、北根室ランチウェイにご興味をお持ちになった方はいつかぜひ歩いてみて下さい。

本当におすすめの素晴らしいコースです。特別な体力や技術は必要ありません。

最近山歩きがきつくなってきたという方や、ウォーキングなら得意という方にも最適です。

 

丘の上にぽつんとある建造物が開陽台です。4日目はそこで行程終了。

 

最終日は開陽台から砂利道の林道や疎林の中、牧場のふちを辿って空港へ。

5日間70kmを歩き通した充実感は、ひときわ鮮やかに完歩者の胸に刻まれることでしょう。

北根室ランチウェイ、この北の大地に設定されたロングコースを一度歩いてみてはいかがでしょうか。

 

井上